菌糸の種類・温度と幼虫の成長との関係

記録

オオクワガタのブリード(飼育)では、多くの方が大きな成虫を目指していると思います。

前号(8月の投稿)で述べたように、X(旧ツイッター)上では、40g以上の幼虫が多く報告されていて、

カンタケ菌を使用した低温飼育の効果であろう、ということで、今期はこの検証を進めていきます。

先に今回のまとめを以下に記します。

  • 菌糸の種類により幼虫の飼育に適する温度は異なる
  • カンタケ菌は、オオヒラタケ菌より2、3℃程度低い温度で同等サイズの幼虫を育成できる
  • 同じ条件下においては、より高い温度がより大きな成長に繋がる。ただし、より管理温度を高くできるオオヒラタケ菌では、高温飼育による幼虫の早期成熟・早期羽化に注意。

幼虫サイズの比較(菌糸ボトル2本目への交換時)

カンタケ菌は低温種ということで、メーカーからは24℃以下での使用が推奨されています。

より大きな成長には、より高い温度が飼育環境として良い、という考えがあったため

昨年度は、夏季にオオヒラタケの菌糸ボトルを使用し

カンタケ菌糸は、冬季にボトル内にきのこが生えないための目的で使用してました。

具体的には、6~11月の1、2本目でオオヒラタケの菌糸ボトル、

12~5月の3、4本目をカンタケの菌糸ボトルとし、

夏季は最高でも27℃となるよう温度管理しました。

これに対して今期は、夏季にカンタケ菌を使用するため(孵化後のプリンカップから使用)

昨年度に対して最高温度が3℃程低温となる管理となりました。

上記の管理で得られた結果は、以下となります。

表 ’23年度の2本目菌糸ボトル(カンタケ菌)交換後の結果
Fig. 体重測定の様子(カンタケ菌糸2本目交換時)

比較のため、昨年度のオオヒラタケ菌を使用した、2本目の菌糸ボトル交換後の表を以下に記しますが、オス(太青字)のサイズは同等であることが確認できます。

表 ’22年度の2本目菌糸ボトル(オオヒラタケ菌)交換後の結果

ちなみに、オオヒラタケ菌を使用した今期の2本目交換時の結果はこちらです。


表 ’23年度の2本目菌糸ボトル(オオヒラタケ菌)交換後の結果
Fig. 体重測定の様子(オオヒラタケ菌糸2本目交換時)

カンタケ菌に引っ張られて、低温となる24~25℃の温度としたため

今期のオスのサイズは昨年度より小さくなってしまいましたが、

この結果より、同じきのこ菌であれば、より高い温度の方が

幼虫のサイズは大きくなる傾向となることが再確認できました。

以上の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 菌糸の種類により幼虫の飼育に適する温度は異なる
  • カンタケ菌は、オオヒラタケ菌より2、3℃程度低い温度で同等サイズの幼虫を育成できる
  • 同じ条件下においては、より高い温度がより大きな成長に繋がる。ただし、より管理温度を高くできるオオヒラタケ菌では、高温飼育による幼虫の早期成熟・早期羽化に注意。

なお、注意点として、適正温度はきのこ菌ごとに異なるため

各菌糸の適正を超えた温度で長期間保持すると、菌糸の劣化が早まり

幼虫飼育の妨げとなる恐れがあるため、注意が必要です。

また、より管理温度を高くできるオオヒラタケ菌の場合、管理温度が高くなりすぎると

幼虫の成熟が早くなり、早期羽化に繋がる恐れがあるため、温度の上げすぎには注意が必要です。

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