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前号から半年経ってしまいましたが、
’23年度のブリーディングについて 生体の全てが羽化からおおよそ1ヵ月経過したので
結果をまとめました。
オスの結果
オスは サイズ計測可能(1頭羽パカを補助)であった
6頭中5頭がオス親のサイズを上回り(85.0mm) かつ、
いずれも昨年度の最大サイズ(86.0mm)を上回るという結果で、
個人的には非常に素晴らしい結果を残すことができました!
参考のため 計測時の写真を以下に掲載します(上記表中のNo.順)。
No.20については、羽化時に上翅が閉じきれそうになかったため
テープを利用した補助をした際の痕が上翅に残ってしまいました。
メスの結果
メスの結果は以下の表のとおりで No.4のみボトル内で暴れたためサイズが小さくなりましたが
それ以外は54~57mm台と ’22年度同等のサイズに収めることができました。
ちなみに 4本目のボトルに交換していないのは オスほどサイズに執着していないことと
あまり大きすぎると産卵が難しいという話を聞くために
あえてボトル3本までの交換としてます。
’23年度の結果の考察
オオヒラタケとカンタケの比較
厳密には 幼虫のエサを以下の2条件で比較した結果となります。
① 1~4本目の全てをカンタケとした場合
② 1、2本目をオオヒラタケとし、3、4本目をカンタケ※に変更した場合
※冬温度できのこが生えるのを防ぐ目的
以下の表より、ボトルを3本目、あるいは4本目に交換した際は
①のカンタケのみの方が ②のオオヒラタケ→カンタケとした場合よりも幼虫体重が乗っていたものの
オスの成虫は①、②のいずれも86mm台が中央値であったため
どちらの条件でも大差なさそうに思います。
飼育頭数が少なすぎて参考になりませんね
なお、①と②の条件で幼虫体重に若干差が見られたにもかかわらず
成虫体長にあまり差が見られなかったのは
以下の左図のように 幼虫体重と成虫体長との関係性において
バラつきが大きいことによるものではないかと考えています(当方の’21~’23年度のデータ)
これは、幼虫の終盤期に体重が増加する個体もいれば 逆に体重を落とす個体もいたりするので
感覚的に理解できるかと思います。
一方で、サナギはエサを食べたり ボトル内を大きく動き回ったりする等の
体重の大きな増減に影響する活動をしないことから
幼虫時よりも その体重と成虫の体長との相関が高くなると考えられます(上右図を参照)
とはいえ、遺伝的な形状の違い等により +/-1mmくらいの差は簡単に生じるので
サナギ体重も参考程度として見た方が良いですね
カンタケボトルでの失敗点
以下の表は、①カンタケのみのオスのデータですが
No.20以外は、3本目から4本目の交換時にほとんど体重の増加がありませんでした。
以下の写真は、’23年度最大個体(88.5mm)の
2本目(左)と3本目(右)のボトル交換時のものですが
3本目交換時点ですでに 幼虫の老化(成熟)が進んでしまっていることから(黄色味が強い)
2本目のボトルの温度が高すぎた(24~25℃)ことで
3本目のボトル交換時には幼虫の成熟がほぼ完了し
その結果、4本目では体重がほとんど増加しなかったのではないかと推測しています。
過去のブログにて 『同じ条件下においては、より高い温度がより大きな成長に繋がる。』
と言及してましたが(菌糸の種類・温度と幼虫の成長との関係)
90mm以上を目指すのであれば ボトル4本返しの4本目でも
更なる成長ができるような条件とする必要がありそうです。
そのためには、2本目、あるいは3本目で 幼虫が成熟してしまわないように
温度を今回条件よりもう少し低く保つ必要があるのではないかと考えます。
オオヒラタケ→カンタケボトルでの失敗点
前回号(菌糸ボトルの菌種を途中変更した結果)では、
②のオオヒラタケ→カンタケでのブリーディングにおいて
『ある程度成長した幼虫(30g以上)では
その後の温度条件によらず 更なる体重増加はあまり期待できない』
と言及してましたが、4本目交換時にほとんど体重増加が見られなかったのは
①のカンタケのみの考察と同様に
3本目でカンタケボトルに変更した以降の温度(22℃)が高すぎたことが一番の失敗点
(幼虫の成熟を進めたのみ)であった可能性が考えられます。
今期以降、しばらくカンタケのみでのブリーディングを予定してますが
オオヒラタケでのブリーディングの機会があれば 3本目の温度をやや落とした条件を試みたいと思います。
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